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サステナブルなホテル運営を実現しているスリランカのホテルグループ|Jetwing Hotels

Jetwing Vil uyana

スリランカで進むSDGzなホテルづくり

スリランカで進むSDGzなホテルづくりスリランカ国内最大のホテルグループ、JETWING HOTELSは、50年も前、創業者の時代から地域と共生するサステナブルなホテル経営を実現してきた世界でも数少ないパイオニア的ホテルグループだ。

スリランカにある34軒のJETWINGホテルズのうち、ジェットウィングを代表する5つ星ホテルについては、クリーンエネルギーを使った電力・空調・お湯の生成、廃水の浄化、お米や野菜などの食料の栽培などをホテル内で行っている。SDGzという言葉が生まれる前の話。
地球にやさしい世界の実現の影には、人間によるひと手間や工夫が必要だ。
スリランカは意外や意外、進んでいる国だったかもしれない。

自然豊かな島という背景

スリランカは別名「緑の島」と呼ばれる。
中部にいけば、舗装された道路を歩く象待ちの車、寺院では猿たちが出迎え、観光地では犬たちが案内してくれ、時々ホテル内にクジャクが舞い降りてきたり、沼にはワニの姿も。
もちろん全て野良(ただし、スリランカは国として象の頭数を毎年確認している)
サステナブルな考え方が自然と生まれた土壌は、こうした動物や自然との共存を大切にしながら、観光立国として急成長したからこそだろうと思われる。南アジアで最も高いタワー(ロータスタワー)のある首都コロンボでさえ緑が多い。

ホテルが雇用だけでなく自然を壊さないで地域の活性化を図る/ジェットウイングレイク

例えば、JETWING  LAKE(ダンブッラ)の挑戦

例えばスリランカ中部 世界遺産シーギリヤにほど近いホテルJETWING  LAKEは客室数94室の比較的大型のホテル。実際、現地視察をして、そのささやかだけれど徹底した対応に正直驚いた。

太陽光発電
大きな客室棟の屋上や駐車場の屋根にソーラーパネルを設置し太陽光発電を実施。
そしてホテル内の電球を、全てLEDにしている。一般電球と比べると約85%も消費電力を抑えることで、CO2の排出を減少させている。

スリランカならではの強い日差しが電力に/イメージ

バイオマスボイラーはインド製と日本製を利用/イメージ

バイオマスボイラー
スリランカの特産品・シナモンの皮を剥いだ後の廃材(シナモンは木の皮を乾燥したもの)を利用。
地元のシナモン業者から廃材を大量に仕入れ、それを燃料として水蒸気を発生させ、その力を利用し電力を発生させる大型の発電機が稼働している。(そうすることで、個別に栽培または収穫する必要もなく、地元のシナモン農家に追加の収入源となり、ここにも資本的な循環が生まれる。)
バイオマス ボイラーは温水と蒸気を生成して、日々のランドリーでの使用や、蒸気吸収式冷凍機の熱源として利用される。蒸気吸収式冷凍機はフロンガスを使用せず、水を冷媒にする環境にやさしい空調システムだ。
スリランカのホテルで最初の蒸気吸収冷凍機は、2012 年にジェットウィング ラグーンに設置され、続いて 2014 年にジェットウィング ヤーラ、2017 年にジェットウィング レイクとジェットウィング ブルーに設置されているそうだ。

尚、ジェットウィング ヤーラ、ジェットウィング ブルー、ジェットウィング レイク、ジェットウィング ヴィル ウヤナのスタッフ キッチンでは、バイオマス ストーブにより、調理に LPG ガスを使用する必要がなく、厨房でもボイラーから発生する蒸気を利用して専用の炊飯器でご飯を炊いたりして利用しているという。
カーボン ニュートラルに向けて必ずしも排出量を削減とはならないかもしれないが二酸化炭素排出量を最小限に抑える努力(ホスピタリティ)を実現しているということだ。


水の循環
ホテル内に廃水処理プラントを併設して、目的に応じてに水の再循環を図っている。施設では汚水、雑排水、洗濯水を集めて別々に処理。再利用汚水と雑排水は追加の化学物質を使用せずに生物学的にのみ処理することも行っている。

脱プラスチック
JETWING グループでは、客室に設置するお水をガラスボトルにすることでペットボトルを軽減している。
ジェットウイングの主要ホテルには、水を詰める専用の工場を併設。1 日あたり最大 2000 リットルの瓶詰めが日々行われている。

採れたての美味を知ったらやめられない?/イメージ
ボトル洗浄の機械も設置/イメージ

食材は自家栽培
敷地内には、キッチンで主に使用される新鮮な食材を育てるオーガニック ガーデンがある。
もちろんガーデンの堆肥も、ホテルで発生する生ゴミから作っている。

スリランカ最大のホテルグループが、こうした取り組みをすでに長年実施して、すでにそれがホテルグループ内では常識となりつつあることが、すごい。
そもそも自然豊かなスリランカ。だからこそ、消費するのではなく、維持できることを考えた自然への感謝すら感じる取り組み。
こうしたホテルの基本姿勢は、必ず、末端のお客様へのサービスにつながってくると思う。
(2023年2月17日付)